🟦そもそも「ギラン・バレー症候群」って何?
📌ギラン・バレー症候群(GBS)とは?
ギラン・バレー症候群は、自分の免疫システムが誤って神経を攻撃してしまう自己免疫性の神経疾患です。
特徴 | 内容 |
発症のきっかけ | 多くは**感染症(ウイルスや細菌)**の数日~数週間後に発症 |
主な症状 | 手足のしびれ・筋力低下・歩行困難・顔面麻痺・呼吸筋麻痺など、進行性の運動麻痺が中心 |
重症化するケース | 20~30%が呼吸困難で人工呼吸管理が必要に |
回復 | 数か月〜1年ほどで回復するが、後遺症が残るケースもあり |
🟦なぜ「鶏肉」からギラン・バレー症候群になるのか?
📌原因のひとつがカンピロバクター感染症
内容 | 詳細 |
カンピロバクターとは? | 主に鶏の腸内に存在する細菌性食中毒の原因菌。加熱不足の鶏肉から人に感染する |
感染経路 | 生または加熱不足の鶏肉、鶏肉に触れた手・器具→口から体内に侵入 |
初期症状 | 下痢・腹痛・発熱・吐き気など(1〜5日潜伏期あり) |
一部の人にGBSを誘発 | カンピロバクター感染後1〜3週間でギラン・バレー症候群を発症する場合がある |
🟦ギラン・バレー症候群が発症する「自己免疫の誤作動」のメカニズム
📌**「分子相同性(molecular mimicry)」という現象**がカギ
ステップ | メカニズム |
① 感染 | 生の鶏肉からカンピロバクター菌が体内に侵入し、腸炎などの症状を起こす |
② 免疫応答 | 体がカンピロバクターの**外膜成分(LPSなど)**を敵とみなして抗体を作る |
③ 自己免疫 | その抗体が**末梢神経の構成成分(ガングリオシド)**と“似ている”ため、誤って自分の神経も攻撃してしまう |
④ 神経障害 | 手足の筋力低下、麻痺、感覚異常などが進行し、重度の場合は呼吸困難や失禁、心拍異常など命に関わる症状も |
📌**この誤作動は「分子相同性(分子が似すぎて区別できない)」という免疫の“バグ”**によって起こります。
🟦統計データ:どれくらいの人が発症するの?
項目 | 内容 |
カンピロバクター感染者のGBS発症率 | およそ1,000人に1~5人(0.1〜0.5%)がギラン・バレー症候群を発症 |
年齢層 | 全年齢に起こりうるが、若年成人と中高年男性にやや多い傾向 |
カンピロバクター感染の報告数(日本) | 年間約3万〜5万人超(推定)、報告されていない軽症例を含めればそれ以上 |
📌つまり、発症頻度は高くないが「ゼロではない」。しかも、発症した場合のインパクトが大きいのがGBSの怖さです。
🟦ギラン・バレーを防ぐためにできること|鶏肉調理時の注意点
✅カンピロバクターは「熱」に弱い!
加熱温度 | 死滅条件 |
75℃ | 1分以上の加熱で死滅可能 |
70℃ | 3分以上で死滅 |
60℃以下 | 生き残る可能性が非常に高い |
📌**「中心部まで75℃」を確実に!** 低温調理・放置調理はリスクあり!
✅【調理中のチェックポイント】
危険ポイント | 対策法 |
低温調理などした際特に注意が必要。見た目だけで火の通りを判断する | 温度計を使用するか、カットして中がピンク色でないかを確認 |
鶏肉を切った包丁・まな板の使い回し | 野菜や他の食材とまな板・包丁を使い分ける or 熱湯消毒する |
生の鶏肉を触った手で他の調理をする | 手洗いを徹底。ハンドソープ+30秒が目安 |
🟦まとめ:鶏肉調理で命に関わるギラン・バレーを防ごう
✅参考動画:youtube 鶏肉の低温調理「安全に美味しく食べ物を調理しよう」
出典:食品安全委員会 香西みどり委員 内閣府
ポイント | 要点 |
カンピロバクター=鶏肉の腸に多い | 加熱不足で感染、下痢だけでなく神経疾患の原因にもなりうる |
GBSは数週間後に発症することがある | 感染から時間が経っているので、因果関係に気づかないケースも |
自己免疫が神経を攻撃してしまう | カンピロバクターの成分が神経の成分と似ていることが原因 |
しっかり火を通すことで予防できる | 「中心部75℃1分以上」のルールを守れば感染予防が可能 |
少数とはいえ、GBS発症者は確実に存在 | 安易な生食や加熱不足調理(低温調理に注意)は避けるべき。家庭内でも知識を広めることが大切 |
🟦📚参考文献(出典)
1. 厚生労働省 食品安全情報「カンピロバクターによる食中毒」
2. 国立感染症研究所「ギラン・バレー症候群の疫学」
3. 日本臨床神経生理学会「自己免疫疾患と分子相同性」
4. WHO「Campylobacter Fact Sheet」
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