🦴【連載・第7回】加齢と骨筋機能の変化|40代から始まる“見えない衰え”にどう備えるか

アンチエイジング

🟦「最近、階段がつらい…」それ、加齢による骨と筋肉の変化かも

年齢を重ねると、なんとなく疲れやすくなったり、動作が重く感じたりしませんか?
実はその“なんとなく”の違和感は、骨と筋肉の機能が静かに変化しているサインかもしれません。
この回では、加齢によって起こる骨と筋肉の変化を、医学的な根拠とともにわかりやすく解説します。


🟦骨の変化:密度と質が低下し、もろくなる

✅骨吸収>骨形成のバランス崩壊が始まるのは40代後半から。
✅特に女性は閉経後、エストロゲンの減少により骨密度が急激に低下。
✅骨の構造がスカスカになり、骨粗鬆症や圧迫骨折のリスクが高まる。
🔗出典:運動機能の老化 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
🔗出典:加齢に伴う骨、筋肉などの変化について 海辺の診療所 健康長寿サロン


🟦筋肉の変化:筋量と筋力が徐々に減少する「サルコペニア」

✅筋肉は30代から萎縮が始まり、40代以降は年間約1%ずつ減少。
✅特に速筋線維(タイプⅡ)が影響を受けやすく、瞬発力が低下。
✅立ち上がりや階段昇降など、日常動作に支障が出やすくなる。
🔗出典:Part1 高齢者の筋力低下とは  筑波大学人間系教授 山田実 ディアケア


🔗出典:筋骨格系への加齢の影響 執筆者 Alexandra Villa-Fort https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/authors/villa-forte-alexandra
MSD家庭版マニュアル 健康生活事典


🟦骨と筋肉の変化が引き起こす“見えないリスク

変化 影響 具体例
🟩骨密度低下 骨折しやすくなる 転倒で腰椎圧迫骨折、大腿骨頸部骨折など
🍀筋力低下 動作が不安定になる つまずき・ふらつき・階段での転倒
🌍姿勢の崩れ 骨格の歪みが進行 猫背・円背・身長の低下
🟩関節の変形 動作制限・痛み 変形性膝関節症・股関節症

🟦加齢による骨筋機能の変化は“予防できる”

骨格筋の可塑性
骨格筋は、激しい運動等で損傷しても速やかに再生することができます。また、筋力トレーニングにより負荷をかけると肥大し、逆に運動不足や長期入院等による不活動によって萎縮するという、活動に応じて量が変化する性質(可塑性)をもつ臓器です

骨格筋の発達と萎縮
骨格筋は多核の筋線維の束で構成されており、筋線維の周囲にはサテライト細胞とよばれる筋線維を生み出す組織幹細胞が存在しています。サテライト細胞は筋損傷や成長因子によって活性化すると筋芽細胞になります。この筋芽細胞は互いに融合して新たな筋線維となる、あるいは既存の筋線維と融合します
 (中略)
筋線維は主にミオシンやアクチンなどの収縮タンパク質で構成されており、その合成と分解のバランスにより筋量は変化します。レジスタンストレーニングを実施すると筋タンパク質合成が分解を上回ることで筋肥大が起こり、逆に不活動では分解が亢進し萎縮が生じます。

🔗出典:筋肉は部位によって性質が異なる? ~加齢や疾患における病態の部位特異性への理解に向けて~ 東京都健康長寿医療センター研究所

筋肉の萎縮を予防する4つの方法

✅運動習慣:ウォーキング・筋トレ・ストレッチで骨と筋肉に刺激を
✅栄養管理:カルシウム・ビタミンD・タンパク質を意識的に摂取
✅睡眠とホルモンバランス:成長ホルモンの分泌を促す質の高い睡眠
✅定期的な検査:骨密度測定や筋力評価で早期発見・対策が可能

🔗出典:運動機能の老化 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
🔗出典:筋肉は部位によって性質が異なる? ~加齢や疾患における病態の部位特異性への理解に向けて~ 東京都健康長寿医療センター研究所


🟦まとめ:加齢は避けられない。でも“衰え方”は選べる

骨と筋肉の変化は、40代から静かに始まります。
でも、正しい知識と習慣があれば、衰えを緩やかにし、健康寿命を延ばすことができます。
次回の【連載第8回】では、骨折・障害予防のための運動療法について、理学療法士の視点から掘り下げます。

本紹介 

👩いかがでしたか?今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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骨格筋に関する本紹介

📗骨格筋ハンドブック(原書第3版): 機能解剖からエクササイズまで一目でわかる 大型本 – 2018/4/2 野村 嶬  (監修)
スポーツや運動療法の実践家に欠かせない知識である骨格筋の1つ1つについて,それぞれ1ページを割いてイラストで簡潔に解説した.起始・停止・作用の他,その筋を使う動作や関連する怪我を効率的に覚えられる.今版では,初版で割愛した筋を収載した他,体の動作への関与別に筋をまとめたページや筋の神経支配の経路をずじしたページが付録に加わるなど大幅な改訂がなされて総ページ数が倍増した.誌面デザインはシンプルなものに一新されて一層みやすくなった.筋膜と生体動作に関する最新の理論も紹介されている.

📗骨格筋肥大のサイエンスとトレーニングへの応用 単行本 – 2021/11/6 
Brad Schoenfeld  (著), 後藤 勝正  (監修, 翻訳)

本書は,筋の発達のための科学と実践を橋渡しする,世界で最も完全な情報源である。
骨格筋肥大について分子レベルの基礎研究から人を対象とした実践的研究まで網羅しており,これから骨格筋肥大の研究に着手する学生や研究者には最適な構成となっている。また,科学的エビデンスに基づいたトレーニング法を模索する指導者や実践者にも参考になる知見が掲載されている。
科学的な基礎に基づいてはいるが,本書の焦点は実際に筋を発達させることにある。そのため,各章には重要事項とその実践への応用について要約した「キーポイント」が設けてある。また,筋肥大のプログラムをエビデンスに基づく方法で個々人に合わせてつくるため,章全体を使って科学的文献を統合した章もある。
目次:
第1章 運動に対する筋肥大応答と適応
第2章 筋肥大のメカニズム
第3章 筋肥大の測定
第4章 筋肥大におけるレジスタンストレーニング変数の役割
第5章 先進的レジスタンストレーニングの実践
第6章 骨格筋肥大における有酸素トレーニングの役割
第7章 筋肥大の最大化に関与する因子
第8章 筋肥大を最大化するプログラムのデザイン
第9章 筋肥大のための栄養

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