🟨【2025年版】「植物油脂」って結局なに?|油の種類を書かない食品表示の裏側

お料理

🟦「植物油脂」って、なんでこんなに曖昧なの?

スーパーでお菓子やパンの原材料表示を見ていると、よく目にする「植物油脂」。
でも、これって何の油なのか、具体的には書かれていませんよね。

実はこの「植物油脂」という表記、
複数の植物由来の油をブレンドしている場合に使われる“まとめ表記なんです。

たとえば、[ パーム油、大豆油、菜種油、ひまわり油 ]などが混ざっていても、「植物油脂」と一括表示されることが多く、消費者には中身がわかりにくいのが現状です。

🟦なぜ「植物油脂」としか書かれないのか?

✅食品表示法では、複数の植物油を使用している場合、個別に記載する義務はなし
✅メーカー側は、コストや安定性、風味の調整のためにブレンド油を使用
✅「植物由来=ヘルシー」というイメージがあるため、あえて曖昧にしているケースも

つまり、「植物油脂」と書かれていても、何の油が使われているかは企業次第
消費者が選ぶ際の判断材料が少ないのが問題です。

🟦植物油脂の種類と特徴

植物油脂には、以下のような種類があります:

油の種類 主な原料 特徴
パーム油 アブラヤシの果肉 安価で大量生産可能。飽和脂肪酸が多め。
大豆油 大豆の種子 不飽和脂肪酸が豊富。加熱調理に向く。
菜種油(キャノーラ油) 菜種の種子 オレイン酸が多く、クセが少ない。
ひまわり油 ひまわりの種子 ビタミンEが豊富。風味が軽い。
こめ油 米ぬか 抗酸化成分が多く、揚げ物に最適。

🟦健康への影響は?最新研究から見る植物油脂の立ち位置

✅ バターやギー(バターオイルの一種)動物性脂肪より良いって本当?

2025年3月、ハーバード大学の研究では
バター10gを植物油に置き換えるだけで死亡率とがんによる死亡リスクが17%低下するという結果が発表されました
これは、植物油に含まれる不飽和脂肪酸が心血管系に良い影響を与えるためです。

この結果は、SNS上で広まっている「シードオイル(種子油)よりバターやギー(バターオイルの一種)、動物性脂肪のほうが良い」とする主張に反論したかたちだ。
(中略)
ウィレット氏らの最新の研究によれば、バターを多く摂取している人は死亡リスクが15%高まり、一方で大豆油、キャノーラ油、オリーブオイルなど植物油をより多く摂取する人は総死亡リスクが16%低かった。また、毎日バター10グラムをこれらの植物油に置き換えただけでも、総死亡リスクとがんによる死亡リスクが17%下がったという。

参考引用:CNN.co.jp 毎日使うバターを植物油に替えるだけで死亡リスクが大幅低下の可能性 新研究

参考情報:米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のYu Zhang氏らによるこの研究結果は、「JAMA Internal Medicine」に3月6日掲載 Yu Zhang、MBBS1,2Katia S.Chadaideh、PhD2,6Yanping Li、PhD3,4et al

press release:Large Study of Dietary Habits Suggests More Plant Oils, Less Butter Could Lead to Better Health

✅ ただし、注意すべき点もあります:

📌つまり、「植物油脂=健康に良い」とは限らず、種類や使い方によっては逆効果になることもあるのです。

🟦環境とサステナビリティの視点

✅植物油脂の環境負荷

📌植物油脂の原料となる作物は、世界中で生産されていますが、その生産には環境負荷も伴います。

  • パーム油は熱帯雨林の伐採や生物多様性の喪失につながることが問題視されている
  • 大豆や菜種の栽培には大量の水や農薬が必要
  • 輸送コストやCO₂排出量も無視できない

そのため、最近では「RSPO認証」など、持続可能な方法で生産された植物油脂を選ぶ動きが広がっています。

✅RSPO認証ってなに?

国際認証制度RSPO

RSPOは2002年に、WWFの呼びかけに応じたパーム油産業に関わるAarhus United UK Ltd.(英油脂企業)、Migros(スイス小売)、マレーシアパーム油協会、ユニリーバが一堂に会し、持続可能なパーム油に関する議論を始めたことから発展しました。その後広く参加メンバーを募りながら協議を重ね、2004年4月に「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」として設立されました。本部はマレーシア、クアラルンプールにあります。

引用:WWFジャパン RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証について

🟦植物油脂との付き合い方

✅原材料表示をよく見る

→「植物油脂」だけでなく、個別に油の種類が書かれている商品を選ぶ

✅認証マークをチェック

→RSPO(持続可能なパーム油)やオーガニック認証などがあるか確認

✅使い方を工夫する

→加熱調理には酸化しにくい油を、サラダには風味の良い油を選ぶ

✅油の摂取量を意識する

→「良い油」でも摂りすぎはNG。1日大さじ1〜2が目安

🟦まとめ:植物油脂は「中身を知る」ことが大事

「植物油脂」と聞くと、なんとなくヘルシーなイメージがありますが、その正体は多種多様で、健康にも環境にも影響を与える存在です。消費者としては、「何が入っているかを知ること」「どう使うかを考えること」。表示の裏側を読み解き、賢く選ぶ力が求められます。


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