山の奥に、くいっと背伸びをしたみたいな小さな家がありました。
そこに住んでいるのは、🐻くまのコル。
コルは山暮らしが長くて、朝は霧といっしょに目を覚まし、
夜は木々がきしむ音を聞きながら眠ります。
秋の終わり、はじめて冷たい風が山を通り抜けた日。
コルはタンスのいちばん下から、白い毛糸のセーターを取り出しました。
少し大きくて、ところどころ毛糸がふわっと飛び出しているセーター。
だれが編んだのか、コルはもう覚えていません。
でも、このセーターを着ると、胸のあたりが静かになります。
コルはセーターを着て、外に出ました。
山はもう冬の準備をしていて、
赤くなった葉っぱが、くるくると地面に落ちています。
「今日は、スープにしよう」
そう言って、コルは台所へ戻りました。
鍋に水を入れて、乾燥させておいたトウモロコシを入れます。
ことこと、ことこと。
火の音といっしょに、甘い匂いが家の中に広がりました。
コーンスープができるまで、少し時間がかかります。
その間、コルは窓辺の椅子に座って、山を眺めました。
遠くの尾根は、もう少しで雪が降りそうです。
鳥の影がひとつ、空を横切りました。
鍋から「できたよ」と言われた気がして、
コルはゆっくり立ち上がります。
白いお皿に注いだコーンスープは、
山の夕方みたいな色をしていました。
ひとくち飲むと、
あたたかさが、のどからおなかへ、ゆっくり降りていきます。
セーターの袖を少しまくって、
もうひとくち。
外では風が木を揺らしているけれど、
家の中は、温かくて、とても静かです。



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