🌀第3回🌀相手の好意が見えないときの不安から自由になる ― トラウマと自動思考を超えて生きる方法[機能不全家族シリーズ2]

心と体のセルフケア
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🟦 はじめに:この「不安」はどこから来るのか

「返事が遅い」「他の人とは楽しそうにしている」「私との約束を忘れている」――こんな場面で胸がざわつく経験は、誰にでもあるかもしれません。

しかし、その感情が強すぎて生活や夢を止めてしまうとき、そこにはただの「気にしすぎ」では片づけられない背景があります。

あなたの不安は、単なる弱さではなく、過去の傷と心の学習の積み重ねから生まれています。だからこそ「気にしすぎ」「自意識過剰」と言われても、それは的を射ていないし、むしろ新しい傷になります。

ここでは、

1. 不安の正体を見つめる
2. 「勘」と「自動思考」を区別する
3. 認知行動療法のステップで変えていく
4. 実際にどうすれば「解放されて生きられるか」

を、掘り下げます。

🟦 不安の正体:心の中の「見捨てられ不安」

機能不全家庭やいじめなどトラウマを持つ人に特有なのは、**心の奥に強い「見捨てられ不安」**が根づいていることです。

• 子どもの頃に「自分より親やきょうだいの都合が優先された」
• 自分の気持ちを話しても軽んじられたり、逆に攻撃された
• 愛情や安心が「一貫して与えられなかった」

こうした経験を重ねると、脳は「私はすぐに忘れられる」「大事にされない」と学習します。すると大人になってからも、誰かの返事が遅れるだけで、心が勝手に警報を鳴らし、過去の恐怖を呼び起こすのです。

ここで重要なのは、

👉「あなたの不安は、怠け心やわがままではなく、心が生き延びるために覚えたサバイバル反応」だということ。

🟦 勘と自動思考のあいだ

あなたがそういった場面で感じる「私の勘が当たっていたこともある」。これは事実です。

人は繰り返しの経験から「相手が裏切る兆候」を読み取る力を無意識に培います。だから勘が働くことは自然で、正しいときもあります。
一方で「返事が遅い=嫌われた」というように、過去の痛みから自動的に結論を出してしまうパターンもあります。この二つは似ているけれど違うもの。

=観察と経験に基づく直感(冷静さを伴う)

自動思考=恐怖からの反射的な結論(焦りと身体反応を伴う)

区別のポイントは、その思考に「冷静さ」があるかどうかです。
・心臓がドキドキして視野が狭くなる → 自動思考の可能性大
・「あ、なんか違和感があるな」と静かに気づく → 勘の可能性大

🟦 認知行動療法(CBT)でのステップ

ここからは、実際に「不安に振り回されない」ためのワークを紹介します。

✅ ステップ1:出来事と反応を書き出す

例:

• 出来事 → 「相手が約束を忘れた」

• 浮かんだ思考 → 「やっぱり私は大事じゃないんだ」

• 感情 → 不安80%、悲しみ70%

• 行動 → 落ち込んで1日何もできなくなる

書くことで、「出来事」と「心の反応」を切り分けられます。

✅ ステップ2:思考を問い直す

その思考に証拠はあるか? 他の可能性は? と問いかけます。

• 自動思考 → 「忘れられた=愛されていない」
• 別の解釈 → 「単に忙しかったのかもしれない」「私は他の場面で大事にされたこともある」

👉ここで大事なのは「ポジティブにすり替える」ことではなく、事実に即した別解釈を増やすこと。

✅ ステップ3:身体反応を落ち着かせる

不安は体に出ます。心拍数、胸の痛み、だるさ…。
すぐに思考を変えるのが難しいときは、

• 腹式呼吸
• 5秒吸って5秒吐く
• グラウンディング(床に足の裏を押しつける)

などで、まず身体の緊張を和らげます。
身体を落ち着かせてから思考を問い直すと、冷静さを取り戻しやすいです。

✅ ステップ4:マイルールを当てはめる

前回の記事で解説した「夢 > 健康 > 安心 > 人間関係」という優先順位ルールを、この場面に当てはめます。

例:

• 「この人との関係は私の夢を進めている?」 → いいえ

• 「私の健康を守っている?」 → むしろ削っている

• なら、距離を置く選択も正しい

🟦 「批判」に傷つかないための考え方

あなたが自動思考と不安に苦しんでいる時人に「気にしすぎ」と言われて傷ついたことはないですか?

もしそう言われ傷ついたことがあるならば、それは当然です。
なぜなら、その言葉はあなたの背景を知らない上での表面的な評価だから。

覚えていてほしいのは、

👉「批判された=私が弱い」ではなく、
👉「批判する人が私の物語を理解できないだけ」。

あなたが抱える感情は、必然があってそこにあります。
恥じる必要は全くありません。

🟦 解放に向けた実践的なステップ

最後に「不安から解放されて生きるための道筋」を整理します。

1. 自動思考に気づく習慣を持つ(書き出しワーク)
2. 勘と不安を見分ける練習を重ねる(冷静さの有無で判断)
3. 体を落ち着ける方法を習慣化する(呼吸・グラウンディング)
4. マイルールで判断をする(夢や健康を守る方向へ)
5. 批判を相手の問題と切り離す(私の弱さではない)

これを繰り返すことで、反射的に不安に飲み込まれる時間は少しずつ減っていきます。

🟦 まとめ

相手の好意が見えないときの不安は、単なる「気にしすぎ」ではなく、過去の痛みから学習した心のサバイバル反応です。

その感情を否定するのではなく、理解し、扱い方を学ぶことで、あなたは「振り回されない自分」に近づいていけます。

あなたの勘は時に正しい。けれどそれに混じる「自動思考」を整理していくことで、本当に大切な人と夢に向き合える力が育ちます。

安心と自信を取り戻すことは、急にはできないけれど、確実に「ステップを踏めば変わっていける」道です。

🟦次回は

🌀第4回🌀「危うい人間関係から自分を守る心理学」[機能不全家族シリーズ2] です。

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