🟦「転んだだけなのに骨折…」それを防ぐには“動ける身体”が必要です
筆者も病棟・外来で多く接してきた骨折。高齢者の骨折の多くは、転倒がきっかけ。
特に脚の付け根(大腿骨頸部)や背骨(脊椎圧迫骨折)は、寝たきりや長期入院につながる重大な障害になりかねません。また大腿骨の骨折になると寿命が10年経ると言われています。
でも、日常のちょっとした運動で、骨折リスクは大きく減らせることがわかっています A B。
そしてこれまでの章で学んだように、
・同じ姿勢で過ごし続けない(30分ごとに姿勢を変える)
・老化変化は40代から既に始まる
・何もしなければ女性ホルモンの減少により更年期後はさらに骨の強度が落ちる骨粗鬆症のリスクが増す
ことを理解して骨折予防のエクササイズを身につけていきましょう
🟦骨折予防に必要な4つの身体機能
✅骨折予防には筋力・柔軟性・バランス・骨の強度が重要です
年齢が上がってからの骨折の高発症部位は、背骨の圧迫骨折と転んで大腿骨を骨折することが多いです。そのため
・圧の分散
・転ばない体を作ること
・転んでも骨折しない骨を作ること
が重要になります。具体的な機能・役割・効果は以下です。
機能 | 役割 | 具体的な効果 |
🟩筋力 | 自分の体を支える力 | 転倒時に踏ん張れる・姿勢が安定する |
🍀柔軟性 | 関節や筋肉のしなやかさ | 動きの幅が広がり、つまずきにくくなる |
🌍バランス能力 | 体の重心を保つ力 | ふらつきや段差での転倒を防ぐ |
🟩骨強度 | 骨の密度と質 | 転倒しても骨折しにくくなる |
🔗参考:オムロン ヘルスケア|家庭でできる骨折予防になる運動・ストレッチ C
🟦理学・作業療法士がすすめる骨折予防エクササイズ
以下は、理学療法士が推奨している家庭でできる安全な運動療法です。
無理なく、毎日少しずつ続けることがポイントです。
🛌寝ながらエクササイズ 骨粗鬆症予防運動
(動画2:45〜)寝たまま10分間の運動で筋力強化
👣スクワット
椅子につかまりながらゆっくり腰を落とす 太もも・骨盤周りの筋力強化
🍀カーフレイズ(かかと落とし)
つま先立ち→かかとをストンと落とす 骨芽細胞を刺激し骨強度UP
これは、認知能力の発達にも役立ちます
🟩八方避けトレーニング
(動画は6:50〜)
周囲四方向のバランス運動で転倒予防
🌍片脚立ち
(動画1:40〜です)
つかまりながら片脚を浮かせて10秒〜1分キープ バランス能力と体幹強化
🍀背筋伸ばし
(動画8:42〜)姿勢改善・脊椎の圧力分散で圧迫骨折予防
🟦運動療法の注意点:安全第一で続けることが大切
✅転倒予防の運動が、逆に転倒の原因にならないように
✅必ず壁や安定した椅子につかまりながら行う
✅痛みがある場合は無理せず、医師や理学療法士に相談
✅1日10分でもOK。継続が最大の予防策
🟦まとめ:骨折予防は“動ける身体”を育てることから
骨折は「転ばない」「骨を強くする」「筋力を保つ」ことで予防できます。
理学療法士の知見を活かした運動療法は、医療に頼らず自分でできる予防策。
次回の【連載第9回】では、神経系と骨筋制御の関係について、動作の安定性を支える仕組みを解説します。
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