コルの家の裏山には、
毎年、野いちごがたくさん実る場所があります。
朝から光がよく当たって、
草のあいだから、赤い粒がぽつぽつ見えるところです。
六月になると、
コルはその場所へ行きます。
今年も、かごを持って、
お昼ごはんのジャムサンドとミルクを用意しました。
山道を少しのぼって、
野いちごの場所に着くと、
コルはしゃがんで、ひとつずつ摘みはじめます。
とげに気をつけながら、
指でそっとつまんで、
かごの中へ。
赤いの。
少し小さいの。
葉っぱの影にかくれているの。
がさごそ。
きゃっきゃっ。
むしゃむしゃ。
あはは。
少し離れたところから、
にぎやかな音が聞こえてきました。
顔を出したのは、リスの兄弟でした。
三匹とも、口のまわりを赤くしています。
コルは、かごを横に置いて、
また一緒に摘みはじめました。
手をのばして、
見つけて、
またのばして。
しばらくすると、
影の形が、少し長くなっていました。
コルは、持ってきたジャムサンドを取り出します。
リスたちにも、ちぎって渡しました。
「おいしいね」
「おいしいね」
パンの間のジャムが、
指につきました。
気がつくと、
かごはいっぱいで、
それでもまだ、摘んだいちごが残っています。
コルは大きな葉っぱを折って、
くるっと包み、
簡単なバッグを作りました。
野いちごを分けて、
リスたちに渡します。
リスたちは、
ほっぺに野いちごをふくらませて、
葉っぱのバッグを下げて、
山の向こうへ帰っていきました。
コルも、かごを持ち上げて、
来た道を戻ります。
家に着くころ、
かごの中の野いちごが、
少しだけ動きました。
コルは、玄関で靴をそろえて、
かごを台の上に置きました。


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