『1月のエビ餃子』

小説

仕事の合間、時計を見るとちょうどいい区切りだった。

パソコンを閉じて、キッチンに立つ。

冷凍庫を開けると、奥のほうにエビの水餃子がある。

袋の表には、湯気の立つ写真と「ぷりぷり」の文字。

鍋に水を張る。

沸くまでの時間で、キャベツと小松菜を切る。

少しだけでいい、と思いながら包丁を動かす。

餃子は少なめにしよう。

野菜を多めにして、バランスよく。

そう決めたはずなのに、袋から出した餃子は、気づくと鍋に次々落ちていく。

五個。

六個。

……まあ、いいか。

湯の中で餃子がゆっくり回る。

エビの匂いが立ち上がって、冬の台所に広がる。

四十を超えてから、「女子」という言葉の置き場が少し難しくなった。

自分で使うと、どこか様子をうかがう感じになる。

周りの反応を、先に想像してしまう。

でもこのキッチンには、誰もいない。

鍋と、まな板と、少し多めの水餃子だけ。

火を止めて、器に盛る。

野菜の緑と、半透明の皮。

思ったより量がある。

箸を取って、ひとつ目。

次。

エビはちゃんと入っている。

仕事に戻るまで、あと少し時間がある。

スープを飲み干して、器の底を見る。

餃子を入れすぎた

午後は少し眠くなるかもしれない

キッチンの時計が、次の時間を知らせていた。

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